ブラックパール号1/72製作記
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■銅・真鍮・亜鉛の黒染めについて■
銅・真鍮・亜鉛の黒染めについてですが、マイ・シップ・クラブのyn1948531 師匠から、参考になるかどうかわからないがと、黒染めの作業方法の文書が送られてきました。

師匠が黒染め液を購入した際に、プロから一子相伝で伝授された黒染めの作業方法のようです。
その貴重な黒染め作業方法の手順を私に伝授してくれました。

私は黒染めをはじめた頃、銅・真鍮・亜鉛の黒染めについては、まったくの素人でどれを買ったらいいのかわからず、取りあえず、モデルガンを売っているホビーショップで購入したのが、バーチウッドのPerma Blue Liquid Gun Blue でした。
真鍮を染めるのに、原液をそのまま使って黒くは染まるのだが、瘡蓋のようになって剥げてしまい、真鍮の地肌がでてきてしまう…どうすればうまく染まるんだろ?と、ない頭をしぼって思い付いたのが、液が濃いんじゃね?でした。水で薄めて使ってみるとそれなりに染まってくれて、瘡蓋のようになって剥げる事がなくなりました。こんな感じで使い方を覚えていったので、人に教えるほどの知識はありませんし経験した事しか話せません。

ですが、師匠から送られてきた黒染め作業方法(銅・真鍮・亜鉛用)伝授書を読んで、目からウロコ…まちがった事をいっぱいやらかしてましたよ。(笑)

師匠、ありがとうございます。

左端、最初に購入したバーチウッドのPerma Blue Liquid Gun Blue 、他の三つはステンドグラス用材料を取扱っているホームセンターとか、専門店で購入しました。どれも、真鍮はとりあえず黒く染まります。(4つとも水で希釈して使ってます。)
※黒染め液の成分は、二酸化セレン・無機銅塩類・水分・その他です。それぞれの割合は二酸化セレン1〜2%・無機銅塩類2〜5%、水分が80〜90パーセントと、メーカーによって違いがあります。
師匠から伝授された黒染め作業方法を下記に載せておきます。

■■黒染め作業方法(銅・真鍮・亜鉛等)■■
■用意する物
黒染め液と適当な容器(浸漬の場合は作業する物が十分漬かる大きさ。金属製の物は不可)、歯ブラシ、ハケ、ウエス、ボロ布(下着やTシャツなどの綿が最適)、黒染め仕上げ剤またはCRC5-56やシリコンオイル、ゴムまたはビニール手袋(薄手のピッタリした物が最適)

■あると便利な物
やわらかめの真鍮ブラシ、綿棒、黒染め専用仕上げ剤、黒染め専用脱脂剤、トイレ掃除用「サンポール」

■注意事項
健康皮膚体には影響はないが傷口、粘膜などには刺激があり、炎症を起こす場合があるので、なるべくゴムまたはビニール手袋を着用して作業する事が望ましい。また、作業終了後は十分水洗いを励行すること。なお、手などに付着した過剰酸化物である黒色スラッヂは石鹸等で簡単に除去できる。

■黒染め作業手順

1、剥離(リペア品の場合)
現状で黒染処理が施されている物に再処理を行う場合、まず最初に残っている黒染め皮膜を除去する。研磨パッドやワイヤーブラシなどで削り取るが、トイレ掃除用の「サンポール」に漬けると簡単に取れる。(付け過ぎに注意!)なお、「サンポール」で皮膜の除去を行う際は素材が侵され易いので注意。リペア品ではなく素材を黒染め加工の場合は
「2、下地処理」から、部分的なタッチアップの場合は「3、脱脂」から始める。この場合はハケ塗りや塗布(擦り付けての作業)の方が適する。

2、下地処理
リペア品の場合は1、で剥離した素材をなるべくキレイに研磨パッドなどで磨く。此の作業に出来具合いによって仕上がり具合が変わってくるので注意。あまり光沢を出さない場合は荒めの研磨パッドを使用して終わりにしておく。素材の黒染め加工の場合も同様に下地処理を行う。細部などに詰まった削りカスや汚れは歯ブラシや刷毛など使ってなるべく完全に除去する。

通常、銅・真鍮素材の場合は、表面が「酸化皮膜」という物で覆われている事が多いので、そのままでは反応が弱かったり反応しなかったりする。そのため、表面をひと皮剥くようなイメージで下地作りを行う。「サンポール」に短時間つけるのも効果的(素材荒れに注意!)下地作り後に時間を長く置くとまた「酸化皮膜」ができてしまうので注意。

3、脱脂
下地処理で磨いた物を水道水の流水でよく流し、台所用洗剤(ママレモンなど)で油分をよく落とす。(染色不良のほとんどが脱脂不足によるもの)市販のパーツクリーナーなどを使うとより効果的(最後に必ず流水で流す)なお、脱脂後は素手で触ると手の油が付き、染色不良の原因になる。また、脱脂後は手早く黒染め作業に移る。

4、黒染め処理
浸漬作業(全体を液に浸す方法)の場合は黒染め液を原液1、水道水5〜6程度の割合で薄める。(この場合は基本の濃度設定なので、使用状況や素材に応じて若干の調整を行った方が良い結果を得られる)どちらかと言えば少し濃いめの方が染まりやすい場合が多い。ただし、希釈割合を著しく間違うと定着不良となるので注意! 作業上権は常温だが、気温が低いと染まりにくい傾向にあるので、その場合は希釈時にお湯で希釈する。(温度は人肌くらい)また、この場合は素材じたいも少し暖めると染まりやすい。

ハケ塗りや塗布(擦り付けての作業)の場合は原液1、水道水3〜4程度の割合で薄める。この場合も原液のままや希釈割合を著しく間違うと定着不良になるので注意。

作業方法は浸漬作業の場合、液に漬けて上下左右に軽く揺すりながら、好みの色になった所で液から出す。時間的には5〜10分くらい。(素材により反応時間は違う)

ハケ塗り、塗布は黒染めしたい部分に塗るが、ハケの場合は擦り付けるようにするとうまく色が染まる。ハケを使わない場合はウエス(ボロ布)に染み込ませて擦る。作業的にはハケ塗りよりこちらの方が簡単。(叩くように擦ると効果的)なお、ウエスは下着やTシャツなどの綿が最適。

テクニックとして、深い黒にしたい場合は長めに入れて乾燥後、オイルをたっぷり付けて何度もよく磨くと、段々深みのある黒に仕上がる。(亜鉛合金に限る)

また、染まりにくい場合のテクニックとして、もし1度で上手く染まらない場合には、浸漬作業では漬けながらウエスや歯ブラシ、使い古しのスコッチブライトで擦る方法が有効。

塗布の場合も何度も擦り付けているうちにだんだん染まってくる。ある程度までやって反応しなくなった場合は一度全面を極細のスコッチブライトで軽く磨き、再度同じ工程をくり返す。
なお、反応しなくなった場合の対処法は浸漬作業も塗布作業も同じ。

5、水洗
水道水で黒染め液をスポンジやブラシ、ウエスなどでよく水洗いする。
黒いカス(スラッヂ)が漬いて曇った感じになった場合はこの段階でウエスを使い軽く擦りながら流す。

6、乾燥
常温乾燥3分ほどで定着するがこのままではサビが発生しやすくなるので3分後はなるべく早く次の工程に進める。乾燥しきれない場合はウエスで拭取ってもOK! 黒染め仕上げ剤を使用して浸漬の場合は水分が残っていても大丈夫。ただし仕上げ剤は水分と混ざりあわないために容器の底に水分が溜まるので、水分が目立ち始めたら仕上げ剤と水を分離させるか、仕上げ剤を更新する。

7、黒染め仕上げ
黒染め仕上げ剤や、CRC5-56・シリコンオイルなどのオイルをたっぷり塗って仕上げる。しばらくたって乾いたら塗る、乾いたら塗る、のくり返しをして油分を吸収しなくなったら完成。(この間1時間くらい。銅・真鍮は色落ちしやすいので注意)

手早く仕上げたい場合はオイルを染み込ませたウエスでよく擦って仕上げる。(叩くようにすると効果的だが擦り過ぎに注意!)また、黒染め仕上げ剤を使用する場合で塗布して仕上げる場合も作業手順は同じだ。浸漬しての仕上げ作業の場合は加工物が十分漬かる容器に5〜10分浸漬して、だしてからそのまま1時間ほど放置すれば完成。

テクニックとしてはウエスでよく擦って仕上げると微妙な光沢が出る。また、CRC5-56・シリコンオイルでも代用はできるが、専用の仕上げ剤を使った方が定着や発色がよく、効果も長持ちする。(銅・真鍮は色落ちしやすいので注意)

8、廃液の処理(正しい処理法法)
処理要領として、黒染め液は酸性を呈するのでアルカリ性の物質(重曹や炭酸ソーダなど)を廃液に加え、中和した後に沈殿物を濾過すれば濾液はそのまま廃水できる。沈殿物は乾燥させて廃棄する。

ただ単に黒くするだけなら脱脂して漬ければ完了。美しく仕上げるには多少の慣れが必要!!

上手く染まらない場合の原因の多くは希釈間違いと前処理時の脱脂不十分。脱脂不十分だと反応が弱まり染色不良やムラになるなどの不具合が発生する。希釈の濃度があまりにも違い過ぎても同じ。

亜鉛合金・銅・真鍮の場合、浸漬方法ではあまり反応せず時間通り浸漬しても定着しない場合もある。その場合は塗布作業の方が反応しやすく、よく定着する傾向にある。

黒染め水溶液は使い捨てではないが、何回も使用しているうちにヘタってくるので、染まりが悪くなってきたら液を更新する。


いかがだったでしょうか?
黒染め加工も奥が深いですね。私はメーカー別で四種類の黒染め液を使用してますが、上記の『黒染め作業方法』を施せば、綺麗に黒く染める事ができるようです。メーカーによって黒染め液の成分濃度が違うので、水で希釈するとき、いろいろためしてみるとよいでしょう。

私は、大きな素材を染めた事はありません。模型工作用のエッチングだったり小さな真鍮板・真鍮線・真鍮釘・銅板・亜鉛合金の小物・鉄でできたL字金具など…です。

なお、私は黒染め仕上げ剤を使った事はありません。どこで買ったらいいのかもわかりませんので、使いたい方はネットで調べてね。黒染めして水洗いの後、オイルで十分だと思ってますし、サビが出たらそれも作品の味付けだと思ってるほうなので…

素人は、いつまでたっても素人ですね。てへへ…でございます。

でも、正式な加工方法は知っておいた方が良いです。勉強になりましたね。

マイ・シップ・クラブのyn1948531 師匠に大感謝です。ありがとうございました。